(書評)「なるほど!とわかる微分積分&なるほど!とわかる線形代数」〜理屈重視の参考書
「なるほど!とわかる微分積分&なるほど!とわかる線形代数」〜理屈重視の参考書
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本の内容
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微分積分は何のために学ぶの?」「何に使うの?」そういう読者の疑問に応え、分かり易く、やさしく語る。そして、正確に記述する。そんな教科書、兼、参考書です。ものごとを見るとき、ある1点の周りだけをうんと細かく見て分析する手法が「微分」、全域を見渡して統合する手法が「積分」です。この両者が表裏一体の存在であることを明らかにする「微分積分学の基本定理」は、人類の叡智が得た最高の宝物の一つです。読者のかゆいところに手が届く「ダソクくん」も大活躍します!
「線形代数は何のために学ぶの?」「何に使うの?」そういう読者の疑問に応え、分かり易く、やさしく語る。そして、正確に記述する。そんな教科書、兼、参考書です。たし算とスカラー倍が作り出す世界が「ベクトル空間」、そこで働く写像のうち特に《線形性》を持つものが「線形写像」です。ベクトル空間は均質で単純なものですが、それを線形写像を通じて見ると、とたんにバラエティーに富んだ数学の舞台になります。読者のかゆいところに手が届く「ダソクくん」も大活躍します!
と書いてある通り,ダソクくんというキャラクターが適宜解説をしながら説明されています.
題名に「なるほど!とわかる」と入っているように数式の意味の理解を重視した記述です.
読んだ感想
微分積分と線形代数で大分難易度が異なり,対象となる読者層も異なると思いました.
微分積分
微分積分は高校の数学の復習(数学Ⅲ)から始まり,εδ論法をやらず大学初年度に学ぶ内容に一通り触れているという印象でした.
丁寧に書かれていたので高校までの内容に不安があっても読み切れる(意欲のある高校生も?)と思います.
線形代数
線形代数の方は抽象的な部分を重視して書かれており,最後の方はかなり抽象度が高かったです.一方で転置行列や行列式の展開などについては終章で少し触れている程度で,初学者が学ぶとしたらバランスが悪い気がしました(若造の戯言だと思ってください),
抽象度が高いので,こちらは他の本を読んで計算はできるようになったけれども線形代数の抽象的な部分の理解が甘いという人がやるべきなのかなと思います.
共通点
どちらも数学の理屈の理解を重視し,計算処理の定着はカバーしていないように感じました.そのため計算力を身に着けながら理解したい人は他の本の方が良いかもしれません.
この記事で出てきた本
- 作者: 松野陽一郎
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2017/04/10
- メディア: 単行本
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